道徳「道徳読み」「道徳見つけ」「国語の読み取りとは異なる」
『大造じいさんとがん』の中で、大造じいさんが残雪を捕まえる際、銃をおろす場面がある。
「が、なんと思ったか、再びじゅうを下ろしてしまいました。」(本文より)
この場面を「道徳読み」の「道徳見つけ」で行うと
良い道徳:生き物の命を奪わずに済んだから
悪い道徳:せっかくのチャンスを生かせなかったから
という記述が見られるかもしれない。
しかし、国語ではそうはいかない。
「なぜ大造じいさんは銃を下ろしてしまったのか。」
と問われたときに
「生き物を殺してはいけないと思ったから。」
と書いても正解にはならないだろう。
「が、」がどのような効果を持っているのか考えなくてはいけない。
「なんと思ったか」を読み取るための文を本文から見つけなくてはいけない。
「下ろしてしまいました」という表現について「下ろしました」とは違う印象を受けることから、考えを深めなくてはいけない。
国語の読み取りは、文というよりも、単語や文節に注目し、叙述をもとに「読み取り」をする。
道徳は、文を読んでイメージされる映像について、経験をもとに「善悪の判断」をする。
このように考えることで「道徳読み」の「道徳見つけ」は国語の読み取りとは異なると
説明できるのではないだろうか。